百日咳と3種混合ワクチンについて
百日咳とは?
百日咳は、「百日咳菌」が原因で起こる感染症です。
主な症状は激しい咳の発作で、特に乳児(1歳未満、中でも生後2か月未満の子)は重症化しやすく、息を吸う前に咳が出てしまうため呼吸困難に陥り、致死的になることがあります。
咳が数週間以上続くのが特徴です。
百日咳の予防
百日咳を予防するために、4種または5種混合ワクチン(百日咳・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ(+ヒブ))を、標準的には生後2ヶ月から2歳までの間に4回接種します。
定期接種であり無料で受けられます。日本では、これ以降に百日咳ワクチンの定期接種はありません。
しかし、後述のとおり百日咳ワクチンは4-5年程度で抗体が減少することが問題になります。
ワクチンの効果と抗体保有率
ワクチンを受けた1歳児では、抗体保有率が約90%となり、ほとんどの子どもは感染しにくくなります。
しかし、1歳以降、抗体が減少し、5歳で約30〜40%になるため、再接種が推奨されます。特に小学校など集団生活を送る場合は、再度ワクチンを受けることが重要です。
日本小児科学会が勧める3種混合ワクチン(自費ワクチン。当院では1回につき税込5,500円)
百日咳単独のワクチンは無いため、3種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳)を追加で接種することが勧められています。
- 5歳以上7歳未満 :1回接種
- 11〜12歳 :1回接種
- 11-12歳の定期接種ワクチンである2種混合(ジフテリア+破傷風)の代わりに、3種混合ワクチンを接種する。
- 2種混合は定期接種で無料で受けられますが、3種混合に変更して接種する場合には自費になります。
※その他の年齢でも接種は可能です。赤ちゃんは重症化しやすいことから、妊娠後期(概ね30~36週)の妊婦さんや新しくパパになる方の接種もお勧めです。妊娠中に接種すると、胎盤を介して赤ちゃんに抗体が移行し、産まれてくる赤ちゃんを百日咳菌から守ることができます。
※任意接種で、ネット予約ではなく電話予約になります。お電話いただき、自動音声案内に従いメッセージを残してください。後ほどスタッフが折り返しご連絡します。
3種混合ワクチンの免疫持続期間
- ジフテリア:約10年
- 百日咳:4〜7年(接種後4〜10年で予防効果が減弱)
- 破傷風:約10年
ワクチンについて
3種混合ワクチン(商品名:トリビック)になります。
成人も接種可能ですが、こども向けに作られていることから、こどもに比べて注射部位の腫れ、赤み、痛みなどの局所反応が比較的高頻度で見られます。