夏かぜ(手足口病・ヘルパンギーナ)が流行しています
● 手足口病・ヘルパンギーナが流行しています
夏に多い感染症のひとつ、手足口病・ヘルパンギーナが流行しています。
名前のとおり手・足・口に発疹が出る病気ですが、実際には膝やひじ、お尻などにもよく発疹が出ます。 そして、小さなお子さんで一番困るのは、発疹そのものよりも口やのどが痛くなって、食べたり飲んだりできなくなることです。
今回は、手足口病について知っておいていただきたいことをまとめます。
● 手足口病は何度もかかります
手足口病は、コクサッキーウイルスA16型、A6型、A10型、エンテロウイルス71型など、いくつかのウイルスによって起こります。
「ヘルパンギーナ」も、同じコクサッキーウイルスなどによって起こる病気です。手足口病とほぼ同様ですが、手足などに発疹は出ず、発熱とのどの痛みが主な症状です。
手足口病には原因となるウイルスが何種類もありますので、 「一度かかったから、もう手足口病にはならない」わけではありません。
違う型のウイルスに感染して、2回、3回とかかることもあります。
● 潜伏期間と感染のしかた
感染してから症状が出るまでの期間は、だいたい3〜5日程度です。
感染は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染、手やおもちゃなどを介する接触感染のほか、便の中に出たウイルスが口に入ることでも広がります。
症状が治ったあとも1か月程度は便の中にウイルスが排泄されることが知られています。 そのため、特に保育園や幼稚園に通っている小さなお子さんでは、完全に感染を防ぐのはなかなか難しい病気です。
特別な消毒を頑張りすぎるよりも、普段どおり石けんと流水で手を洗うこと、特におむつ交換やトイレのあとに手洗いをすることが大切です。
● どんな症状が出る?
発熱やのどの痛みから始まり、その後、口の中、手のひら、足の裏などに2〜3mmほどの赤い発疹や、水ぶくれのような発疹が出てきます。 熱が下がったあとに発疹が現れることも多く、慣れている小児科医でも当日に診断が難しいこともあります。
手のひらや足の裏の皮膚のしわに沿うように水疱が並ぶと、とても手足口病らしい見た目になります。 ただし、いつも教科書どおりの発疹が出るわけではありません。
手足だけでなく、 スネ、膝、腕、ひじ、お尻や肛門のまわり などにもよく出ます。
“手足口お尻病”と言っていいくらい、お尻にもよく発疹が出ます。
熱は40℃くらいまで上がることも多いですが、48時間以内に解熱するケースが多く、何日も高熱が続くことは多くありません。 多くのお子さんは、全身状態もそれほど悪くならず自然に元気になっていきます。
発疹は1週間〜10日ほどすると、皮がむけるような感じで少しずつなくなっていきます。
また、手足口病が治ってから数週間〜1か月ほどして、爪が浮いたり、めくれたりすることがあります。 突然爪がはがれてくると驚きますが、手足口病のあとには時々みられる症状で、多くはそのまま新しい爪が伸びて元に戻ります。
手足口病で一番大切なのは「水分」です。
発疹の数よりも、「飲めているか」「おしっこが出ているか」をよく見てあげてください。
● のどが痛くて食べられないとき
手足口病には、ウイルスそのものを治す特別な薬はありません。 そのため、症状が治まるまで水分をとりながら待つことが治療の中心になります。
口の中やのどに水疱ができると、小さなお子さんは痛くてご飯を食べなくなることがあります。 ひどいときには、飲み物まで嫌がります。
そんなとき、無理にいつものご飯を食べさせる必要はありません。
数日ご飯を十分食べられないことよりも、水分がとれず脱水になってしまうことのほうが心配です。
塩辛いもの、酸っぱいもの、熱いものなどは、口の中の水疱にしみて嫌がることがあります。 反対に、冷たくて口当たりのよいものは比較的食べやすいことがあります。
- ミルク
- 牛乳
- ゼリー
- プリン
- ヨーグルト
- アイスクリーム
- 冷ましたスープやおかゆ
など、本人が嫌がらずに口にできるものを使って構いません。
この数日だけは、栄養バランスは少し横に置いておきましょう。 アイスクリームが主食のようになっても、それだけで困ることはありません。
一度にたくさん飲ませようとすると嫌がることもありますので、少量ずつ、回数を増やして与えてみてください。
「あと一口だけでも飲んでくれないかな」と、なかなか根気のいる看病になりますが、のどが治ってくれば自然とまた食べられるようになります。
● こんなときは早めに受診してください
手足口病のほとんどは自然に治る病気です。 一方で、まれではありますが、髄膜炎や脳炎、小脳失調症、心筋炎などの合併症を起こすことがあります。
次のような場合には、「手足口病だから」と自宅で様子を見続けず、医療機関を受診してください。
- 水分をほとんど飲めない
- おしっこが長時間出ていない、明らかに少ない
- ぐったりして反応が悪い
- 何度も吐く
- 強い頭痛を訴える
- けいれんした
- ふらつく、歩き方がおかしいなど、いつもと違う様子がある
夜間や休日であっても、状態によっては救急病院への受診が必要になります。
● かかってしまったら、まず水分
手足口病は、特に5歳くらいまでの小さなお子さんによくみられる感染症です。
集団生活をしていれば、気をつけていてもかかるときはかかります。 「何か予防が足りなかったのかな」と気にしすぎる必要はありません。
かかってしまったら、一番大切なのは
「食べられなくても、少しずつ水分をとること」
です。
ゼリーでも、アイスでも、ミルクでも、その子が口にできるもので構いません。 少量ずつ、根気よく飲ませながら、口とのどが治るのを待ちましょう。
そして、どうしても飲めない、おしっこが出ない、ぐったりしている、あるいは普段と明らかに違う症状がある場合には、我慢せず受診してください。

